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Shinya Mizojiri – INSTeM https://stage.instem.jp Inter-field Network for Science, Technology and Media Studies Fri, 19 Jul 2024 01:42:08 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.6.10 大学生が語る「一人でやる」こと-会話型DSTの試み(4) https://stage.instem.jp/article/2023/07/31/1046/ https://stage.instem.jp/article/2023/07/31/1046/#respond Mon, 31 Jul 2023 03:10:00 +0000 https://stage.instem.jp/?p=1046 大学生が語る「東京」と「東京の外」-会話型DSTの試み(3)はこちら

目白大学メディア学部溝尻ゼミ2年生(当時)が、2022年10月~12月に制作した会話型DST作品「なうどぅ」を紹介する本シリーズも今回が最後になった。最後に紹介するのは「一人○○」をテーマにした作品である。

制作:目白大学メディア学部溝尻ゼミ(白石彩絵、仲田希光、篠原麗)



◆一人〇〇とは
コロナウイルスの流行によって、誰かと出かけたり、大勢で食事をすることが制限されてしまう時期がありました。ただ、その制限の中で、楽しみのないまま過ごすのはもったいないですよね?
そこで一人でも楽しめること、一人だからこそ良いと思えるおすすめポイントを、女子大生3人が経験談をもとにお話します!
もちろんコロナの制限が緩和されてきた今でも、これを聞けば、時には一人でどこかへ!なんて気持ちになっていただけるのではと思います!

【気をつけた点・意識した点】
・なるべく専門用語や略語を使用しないこと
・相づちや同意などをすることでお互いに話しやすい雰囲気づくりを意識したこと
・作品は音声のみだが、収録するときは互いの目を見てコミュニケーションをとりながら実施したこと
・声のトーンを明るくすること
・掛け合いの時に、できるだけ声が被らないようにすること
・経験談を話すため、なるべく自然体で話すこと

〈一人ショッピング編〉
みなさんは普段どんなショッピングをしていますか?
友達や家族と一緒に行ったり、ネット通販で購入したり、、、様々なショッピングがある中で、私は一人でショッピングに行くことが大好きです! 一人だからこそできる、店舗に足を運んでときめくものを見つける魅力について語っています! これを聞いた皆さんもぜひときめき探ししてみませんか?

一人〇〇(一人ショッピング編)

〈一人ラーメン編〉
時々、なぜか無性にラーメンを食べたくなる時ありませんか?? そんな時は、性別問わず、「一人ラーメン」はおすすめです! 私が見つけた「一人ラーメン」の魅力を全力で語ります! ぜひ、明日のランチまたはディナーの参考にしてみてください。

一人〇〇(一人ラーメン編)

〈一人カラオケ編〉
皆さんは日々のストレスをどのように発散していますか? 私のおすすめストレス発散方法はカラオケです! 大きな声で思い切り歌って、あなたも明日からスッキリとした日々を送りましょう。カラオケの楽しみ方は無限大です! あなた独自の楽しみ方を見つけるための参考にしてくださると幸いです。

一人〇〇(一人カラオケ編)

以上、本シリーズでは会話型DSTを通して制作された作品を紹介してきた。
声だけで自分の感情を伝えることは難しい。しかし、どうやって声だけで感情を伝えるか、試行錯誤を繰り返し、対話を重ねながら作品を作り上げるそのプロセスには、やはり教育的意義はあるだろうと思う。作り手のあいだに生まれる共感はDSTワークショップの肝であり、この作品制作を通して学生たちが相互理解を深めたのは間違いない。
一方、こうしたワークショップを通して生み出された作品をどのように広げ、さらなる共感を生み出すかは、まだまだ試行錯誤の段階にある。ぜひ忌憚のない意見をいただければ幸いである。

(写真は目白大学メディア学部溝尻ゼミ生による撮影)

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大学生が語る「東京」と「東京の外」-会話型DSTの試み(3) https://stage.instem.jp/article/2023/07/25/1010/ https://stage.instem.jp/article/2023/07/25/1010/#comments Tue, 25 Jul 2023 01:00:00 +0000 https://stage.instem.jp/?p=1010 「ただのお喋り」から何を感じ取るか?-会話型DSTの試み(2)はこちら

前回に引き続き、目白大学メディア学部溝尻ゼミ2年生(当時)が、2022年10月~12月に制作した会話型DST作品「なうどぅ」を紹介したい。今回紹介するのは「東京おすすめスポット」「遠征」をテーマにした2作品である。

制作:目白大学メディア学部溝尻ゼミ(三森想、芦野秀憲、山口翠、村田莉奈)


◆東京おすすめスポット
人やモノ、商業にトレンドなど、何もかもが目まぐるしく変化する街、東京。その東京で大学生活を送る芦野と三森が、今変わりゆく場所だからこそ訪れてみてほしい所を紹介します。
「なうどぅ」という番組タイトルは、NowとDoを組み合わせています。そのタイトル通り、今だからこそやっておくことを考えてみました。そして、二人とも変化が激しい好きな街について語りたいことがあったため、東京をテーマにしました。
芦野は好きなアニメ作品の舞台として関心があったお台場について、三森は長年好きなアイドルが活躍し続ける秋葉原について、熱くご紹介します。

【気をつけた点・意識した点】
音声作品を初めて作るにあたり、まず楽しく喋ることを意識しました。マイクを前にすると、緊張して話が固くなることがあります。そのため、緊張を解消できるように会話を増やすことで、お互い気楽に喋れるようにしました。
また編集をした際は、聞いていてなるべく音が途切れないようにしました。

〈秋葉原編〉
長い期間AKB48を推している三森が、その原点となった場所である秋葉原について話します。三森が見てきた秋葉原とその移り変わり、そしてその変化を体験したからこそ話せる「今やってほしいこと」について語ります。

東京おすすめスポット1(秋葉原編)

〈お台場編〉
 最先端の集まる街・お台場を歩く芦野が、その魅力について話します。お台場の何が楽しくて目を奪われたか、また、そこで体験した変化をお届けできるよう、精一杯熱く語りました。

東京おすすめスポット2(お台場編)



◆遠征とは
あなたは遠征という言葉を知っていますか?
今回紹介するのは、2022年に目白大学メディア学部溝尻ゼミの2年生によって制作された音声作品です。この音声作品ではオタク用語における「遠征」についてお話ししています。本来、遠征とは試合や登山などのために遠くへ出向くという意味の言葉です。しかし、オタク用語における遠征とは、推しに会うために遠方で開催されるコンサートや舞台を見に行くことをいいます。例えば東京に住んでいる人が、名古屋で開催される自分の好きなアーティストのコンサートを見に行くことなどを指します。
本作では、遠征経験のある女子2人が自身の経験談をもとに遠征についてお話ししました。
2人とも東京の大学に通う大学生です。東京でもコンサートや舞台は開催されるのに、どうしてわざわざ遠方のコンサートや舞台に行くのでしょうか?
その理由については音声作品内で語られています。どうぞ、お楽しみください。

【気をつけた点・意識した点】
この音声作品は、遠征という、ぜひ今やってほしい、今しかできない経験を学生のみなさんに伝えるために制作しました。遠征は時間も費用もかかることから、経験するなら学生であるこのタイミングがおすすめだと考えました。したがって会話のなかでは、聞いている人に自分も遠征してみたいと思ってもらえるように、その場の臨場感を味わえるような状況説明を行うことを意識しました。

〈浦島坂田船編〉
1人目は「浦島坂田船」という男性4人組グループを好きなファンの視点で、遠征について語っています。浦島坂田船は、インターネット上で「歌ってみた」動画を投稿しながら活動し、近年ではアリーナ規模でコンサートも開催しているアーティストです。

遠征とは1(浦島坂田船編)

〈M!LK編〉
2人目は「M!LK」という男性5人組グループを好きなファンの視点で、遠征について語っています。M!LKは、スターダストプロモーションに所属する佐野勇斗、塩﨑太智、曽野舜太、山中柔太朗、吉田仁人からなる5人組ボーカルダンスユニットです。

遠征とは2(M!LK編)

(写真はすべて目白大学メディア学部溝尻ゼミ生による撮影)

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大学生が語るアルバイトのやりがい-会話型DSTの試み(2) https://stage.instem.jp/article/2023/07/18/971/ https://stage.instem.jp/article/2023/07/18/971/#comments Tue, 18 Jul 2023 07:42:06 +0000 https://stage.instem.jp/?p=971 「ただのお喋り」から何を感じ取るか?-会話型DSTの試み(1)はこちら

今回からは、会話型DSTを通して学生たちが実際に作った作品を紹介したい。
目白大学メディア学部溝尻ゼミ2年生(当時)は、2022年10月~12月の約2ヶ月をかけて「いまだからこそやりたいこと」をテーマに「なうどぅ」という会話型DST作品を制作した。
(なお「なうどぅ」はNow+Doを組み合わせた造語である。文法的にはDo It Nowが正しいが、そこはタイトルとしての語感を優先した)

第1弾は、アルバイトをめぐる大学生の語りがメインになっている。以下の文章は、実際に制作した学生による作品紹介である。

制作:目白大学メディア学部溝尻ゼミ(西坂拓馬、宮久保快、中村百花)



◆大学生だからこそアルバイト!
皆さんが大学生のうちにやっておくべきことはどんなことだと考えますか? 私たちは、アルバイトだと考えます。これを聞いてくれた方が、アルバイト経験を通じて人とのコミュニケーション能力を向上させたり、社会を少しでも知れるように、目白大学メディア学部メディア学科溝尻ゼミに所属する我々大学生3人がアルバイトの大変さと楽しさを詳しくお伝えします。

【気をつけた点・意識した点】
この作品は、大学生の今だからこそ皆さんにやってほしいアルバイトという視点で制作しました。ターゲットを自分たちより学年が下の大学生や、今後大学に入学してくる高校生に設定したため、いかに分かりやすく簡単な表現を使うかという点を意識しました。また一種のラジオ的番組であるため、略語を使わずに正しくお届けするという点に、苦戦しながらも意識して取り組みました。ぜひお聞きください。

〈レンタルビデオ編〉
1本目は、レンタルビデオ店で働く男子大学生が語っています。我々利用者があまり知らない多くの業務や、アルバイトをやる上で気をつけていることなどに注目しながらお聞きください。

大学生だからこそアルバイト1(レンタルビデオ編)

〈回転寿司編〉
2本目は、回転寿司店で働く男子大学生が語っています。いつも美味しく新鮮なお寿司を提供してくれている回転寿司ですが、アルバイトの現場には大変さもあります。そんな大変さとやりがいがとにかく伝わる様子をぜひお聞きください。

大学生だからこそアルバイト2(回転寿司編)

〈居酒屋編〉
3本目は、居酒屋で働く女子大学生が語っています。お店で一緒に働いている海外出身の仲間と普段どのように業務をしているのでしょうか。回転寿司店とも繋がる飲食店ならではの大変さがあるものの、それでもこのアルバイトをしようと思う理由に注目しながらぜひお聞きください。

大学生だからこそアルバイト3(居酒屋編)


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「ただのお喋り」から何を感じ取るか?-会話型DSTの試み(1) https://stage.instem.jp/article/2023/07/10/958/ https://stage.instem.jp/article/2023/07/10/958/#respond Mon, 10 Jul 2023 05:30:00 +0000 https://stage.instem.jp/?p=958 筆者は特にコロナ禍以降、声のデジタル・ストーリーテリング(DST)に取り組んできた。DSTとは日常生活を送る中で浮かんだふとした感情や、誰かに共感してほしい思いを、制作者とファシリテーターが協働しながら短いデジタル作品にしていくメディア表現ワークショップである。

前回のシリーズでは、大学のゼミ活動の一環として実施してきた「推し語りDST」を紹介した(「推し」を語るということ-推し語りデジタル・ストーリーテリングの展開(1))。そしてその最終回を「音声DSTの試み(…)は、まだまだ多くの展開可能性を持っているのではないだろうか」という言葉で締めくくった。本シリーズではその後の実際の展開過程と、そこから見えてきた音声DSTの課題について論じてみたいと思う。

まず、推し語りDSTを通して浮上した課題の一つに、声だけで感情を伝えることの困難があった。音声DSTで作られた作品は、ただでさえ視覚的な情報を提示できず、さらにうまく伝えようと事前に台本を準備しているために、話し手の意識はどうしても「間違えずに正しく読むこと」に向いてしまい、いわゆる棒読みになりがちである。結果として話し手の感情はうまく伝わらない。

そこで次に実践してみたのが、会話型DSTだった。これはラジオのトーク番組のように、2~3人でチームを組んでそのチーム内で会話をしながらそれぞれの思いを表現する音声DSTである。何をどのくらいの時間話すかという大雑把な進行表は共有しているが、台本は作らず、基本的にはその場のノリで会話が進んでいく。これならば、声だけであっても話し手の自然な感情を表現することができるのではないかと考えたのだ。

結果はどうなったか――。筆者はこの結果をまだうまく評価できずにいる。確かに学生たちは、まだまだ固さは残るものの自らの感情をより自然に伝えることができるようになったと思う。しかし、やればやるほどラジオのトーク番組の形式に近づいてしまい、聞く側もどうしてもラジオトーク番組との対比でこの作品を解釈してしまう。すると今度は「聞き手が求める情報を分かりやすく伝える」ラジオ番組と、「話し手のふとした思いを共有する」DSTとの内容的な差異が必要以上に際立ってしまうのである。

実際、知り合いのラジオ関係者に出来上がった作品を聞いてもらったところ、「これはただの大学生のお喋りであって、公共の電波には乗せられませんね」と一蹴されてしまった。うまくできればラジオ番組内で紹介してもらえる予定になっていたので、学生の落胆も非常に大きかった。

確かに、プロのラジオ番組の送り手として日々情報発信をしている立場からすれば、「ただの大学生のお喋り」を放送する意義は特段見い出せないかもしれない。それはよく分かる。しかし、そんな「ただのお喋り」の中にも話し手の日常や、日常生活の中から生まれた誰かと共有したい感情が含まれているわけで、その感情をこそ大事にしてきたDSTの実践者としては、やっぱりそんなに簡単に切り捨てることはできないよな……という、非常にもやもやした思いが残る結果となった。「公共の」電波を介して放送されるコンテンツに必要とされる「公共性」と、DSTが重視してきた私的な感情を分かつ断層が露呈したのかもしれないが、一方で「そこで言ってるラジオ放送の『公共性』って、そもそも何だっけ?」といった疑問も頭をもたげてきて、私は相変わらずもやもやしている。

というわけで、次回以降の記事ではこの会話型DSTを通して実際にできあがった作品を紹介させていただきたい。公共の電波には乗せられないかもしれないが、代わりにこの電子空間上で少しでも共感の輪が広がることを願って。

大学生が語るアルバイトのやりがい-会話型DSTの試み(2)はこちら

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「推し」を語るということ―推し語りデジタル・ストーリーテリングの展開(3) https://stage.instem.jp/article/2023/03/31/764/ https://stage.instem.jp/article/2023/03/31/764/#comments Fri, 31 Mar 2023 14:08:50 +0000 https://stage.instem.jp/?p=764 「推し」を語るということー推し語りデジタル・ストーリーテリングの展開(2)はこちら

前回に続き、今回も2022年8月に目白大学メディア学部溝尻ゼミが実施した、推し語りDSTの成果を紹介したい。

1作品目は「私がたこ焼きを焼く理由」という作品である。この作品ではファシリテーターを務めた先輩学生との対話がそのまま録音されている。

「私がたこ焼きを焼く理由」

ファシリテーターの3年生も、語り手の2年生と同じくジャニーズファンであり、だからこそ分かる共感が色濃く出ている作品である。一方で物語としての伏線の張り方には、短い時間ながら二人で議論を重ねた跡を見て取ることができる。

最後に紹介するのは「好きをもっと好きにさせてくれる表現」である。

「好きをもっと好きにさせてくれる表現」

メディア学部に集まる学生たちは、やはり何らかの形で表現への欲求を持っていることが多い。そしてこの作品では、彼にとっての表現欲求の根本が語られている。制作のために用意された時間も1時間と短く、また作品もあまり長いものは作れない(筆者は参加者に対して「1~3分程度にまとめること」という指示を出していた)状況で、自分が語りたいことをいかに取捨選択し的確にまとめるか、苦労を重ねていた作品である。

参加した学生からは、声だけで感情を伝えることは意外に難しかったという感想が多く寄せられた。それは私たちの普段のコミュニケーションに占める視覚の割合がいかに高いかの裏返しでもあるだろう。しかしだからこそこの活動は、相手の姿が見えない中でコミュニケーションせざるを得ない状況を経験した学生たちにフィットしたのではないか。さらに「推し」とは、自身が考えるその魅力を何とかして相手に伝えたいというモチベーションを喚起してくれる存在でもある。音声DSTの試みや、テーマとしての推し語りは、まだまだ多くの展開可能性を持っているのではないだろうか。

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「推し」を語るということ―推し語りデジタル・ストーリーテリングの展開(2) https://stage.instem.jp/article/2023/03/15/737/ https://stage.instem.jp/article/2023/03/15/737/#comments Wed, 15 Mar 2023 06:55:22 +0000 https://stage.instem.jp/?p=737 「推し」を語るということー推し語りデジタル・ストーリーテリングの展開(1)はこちら

今回紹介するのは、2022年8月に対面で実施した推し語りDSTで制作された2作品である。参加者は目白大学メディア学部溝尻ゼミの2年生だ。弊学では2年生の夏からゼミ活動が始まるため、参加した学生たちにとってはこれが初めてのゼミ活動だった。緊張気味の2年生は、こうしたDSTを何度も経験している3年生とペアを組み、先輩たちのファシリテーションを受けながら自らの推しを語り、作品化していった。およそ1時間のワークショップで10作品が完成し、その場で発表会が行なわれた。

最初に紹介するのは「聖地巡礼」と題した作品である。

「聖地巡礼」

コロナ禍の影響で楽しみにしていた「推し」の公演が中止になってしまったショックと、そのショックを乗り越えて別の楽しみを見出すプロセスが語られた作品である。コロナ禍に見舞われて以降、多くの人がこうしたショックを味わい、そしてその中から何とか楽しみを見つけ出す経験を積み重ねてきたのではないだろうか。

2作品目は「10年の想い」と題した作品である。

「10年の想い」

自分が推しているアイドルへの想いをシンプルに語った作品だが、最後の一言に語り手の強い感情が込められている。「推し」の存在は永遠ではなく、いつかは終わりを迎えることを当事者は理解しており、だからこそ対象を推しているいまこの時間こそが「尊い」ものになっていることが分かる作品である。

「推し」を語るということ―推し語りデジタル・ストーリーテリングの展開(3)へ

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「推し」を語るということ―推し語りデジタル・ストーリーテリングの展開(1) https://stage.instem.jp/article/2023/03/01/729/ https://stage.instem.jp/article/2023/03/01/729/#comments Wed, 01 Mar 2023 07:37:32 +0000 https://stage.instem.jp/?p=729 コロナ禍に見舞われた2020年から2021年にかけて、多くの大学で授業がオンライン化された。

このとき、筆者はほとんどの講義科目をオンデマンド授業として展開した。オンデマンド授業とは、授業内容を動画などにまとめてWebに公開し、学生はその教材を視聴した上で課題を提出する形で進められる授業である。Zoomなどを使ってリアルタイム配信されるオンライン授業に較べると、都合の良い時間に受講でき、通信容量も少なく済むメリットがある。この講義科目のオンデマンド授業化は少しでも学生の負担を減らすための措置だったが、作る側にとっては毎日朝からひたすらビジュアル資料を作り、1人でカメラに向かって語りかけ、そして深夜まで黙々と編集する日々が続く、身体的にも精神的にも辛い日々だったのを覚えている。

しかしそれにも増して困ったのは、オンラインでゼミをどう行なえばいいのかという問題だった。筆者が展開しているメディア文化研究のゼミでは、これまで仲間とのディスカッションを重ねながら雑誌や映像などの制作物を作り上げ、それを大学外に向けて広く発信する活動を行なってきた。基本的には一方向の講義科目とは根本的にやり方が異なるゼミ科目を、どうやってオンライン展開すればいいのか。毎回試行錯誤の繰り返しだった。

オンラインミーティングの空間は、教員に隠れて受講生同士でこっそりお喋りすることができないため、無駄話が発生しにくい場である。さらに、多くの受講生はビデオをオンにしたがらない。教員としても学生の状況や心情は理解できるのでビデオオンを強制するわけにもいかず、各メンバーの名前だけが並ぶ無味乾燥な画面に教員一人の顔が大映しにされることになる。当然コミュニケーションは盛り上がらない。

どうすれば顔の見えないオンライン空間で学生同士のコミュニケーションを誘発することができるのだろうか。苦し紛れに思いついたのが「推し」を語るデジタル・ストーリーテリング(DST)の実践だった。

筆者は2010年代初頭から、小川明子氏らとともにDSTに取り組んできた。DSTとは、日々のふとした思いつきや日常のひとコマなど、誰かに共感してほしい「声なき想い」を物語化・作品化して共有する活動である。参加者とファシリテーターが対話を重ねながら「声なき想い」を掘り起こし、物語化した上で台本を作成し、1~3分程度の短い映像作品や音声作品にまとめる形で行なわれる。語りのテーマは活動によって異なり、活動期間も数か月かけて取り組む場合もあれば2時間程度で終わることもある。

コロナ禍以降、筆者は学生たちと「『推し』を語る」というテーマの音声DSTをするようになった。考えてみれば、2010年代以降「萌え」と入れ替わるように「推し」という言葉をよく聞くようになったように思う。元々「萌え」は植物が芽を出す(萌え出づる)様子を表す言葉であり、それが転じて、心の中に自然に発生する好意的な感情を意味するようになったのだろう。それに対して「推し」はその漢字の意味合いからして、より能動的に対象への愛を発信するニュアンスを含んでいる。「推し」は他者に対して表明することで成立する、まさしくコミュニケーション的行為なのではないか。そんな思いつきから始まったのが、この推し語りDSTである。

学生たちはペアを組み、お互いの「推し」を聞き出す。ここでいう「推し」はアイドルやアニメキャラクターはもちろん、お気に入りのお菓子やこだわりのファッションなど、自分が能動的に愛を語ることができる対象で、聞き手に対して理解や共感を欲しているものであれば何でもいい。1~2時間程度お互いの推し語りに耳を傾け、その語りを共同で物語化し、その場で録音して発表しあうこの活動は、オンラインゼミの場でも大いに盛り上がり、対面授業の再開以降も筆者のゼミで定期的に開催されるようになった。

次回以降、実際に学生が制作した推し語りDST作品を披露してみたい。

「推し」を語るということー押し語りデジタル・ストーリーテリングの展開(2)へ

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